SNSを通して女性を中心に大きな支持を受けているKOTOKA IZUMIさん。
イラストレーター、アートディレクターとして幅広く活躍し、繊細なタッチで描く日常のリアルさを表現した女性や男女の大人っぽい雰囲気が魅力的。自身のインスタグラムに公開したイラストの反響も大きく、関連グッズは即完売するなど、"今"まさに注目の人。2020年8月に自身の会社を設立した。そんな"KOTOKA IZUMI"さんの展示会へお邪魔して、彼女の繊細なタッチがどこから生まれてくるのか、深堀してきました。
では、まずイラスト「絵」に触れたキッカケを教えて頂けますか?
あまり自分の中で記憶にないんですけど、小さい頃から絵を書く事が好きだったらしく、母からは小さい頃からずっと絵を描いていたと言われましたね。他の子が「ゲームがほしい!」って言うのと同じで、ずっと写し絵だったり、塗り絵をしていたみたいです。自分で認識している記憶だと、10歳の時に1/2成人式っていうのをやったんですけど、そこで将来の夢を発表する場があって、その時に「イラストレーターになりたい」って言ってましたね。
なるほど。既に幼少期の時点で将来が固まっていたのですね!幼い頃って、意識せずに没頭する物が誰しもあると思いますが、KOTOKAさんにとってはそれが「絵」だったのですね!
そうですね。キャラクターとか、漫画とかをマネして描く事をその頃はひたすらしてましたね。
その頃から、人物画だったり、動きのあるモノを書いていたのですね!
では、イラストレーターになる「キッカケ」があったというよりも、潜在的になっていったという感覚でしょうか?
流れとしてはそうなんですけど、イラストレーターに本当に踏み込む、これを仕事にするって決めるタイミングはいろいろ悩みました。イラストレーター以外だったら教師になりたいと思って大学に進学したので、どっちの道に進むかは自分なりにかなり考えました。
これまた両極端な職業ですね!
そうなんですよ。(笑)イラストレーターになりたいって言っても、それだけで食べていく事に自分の中で不安要素がいくつもあったから、この1年間でイラストレーターですって自分が名乗っても恥ずかしくないような、残せるモノを作れたら、イラストレーターを目指そうと大学3年生の時に決めていました。そのタイミングでお仕事が軌道に乗って、自分のやりたいことや進みたい道が明確になってきたため、イラストレーターになろうと決意しました。
なるほどー!ちなみに余談なのですが、教師になろうとしていた時は、何の教科の先生になろうとしていたのでしょうか?
家庭科の先生です。
家庭科!?絵というか、美術とかではないんですね!?
そうなんですよね。選んだ理由に家庭科が好きだったっていうのももちろんあるんですけど、美術の教員になるには美大に行かないといけないし、美大に行くにはデッサンとかオールマイティーにできないとだめなので、美術という選択肢がなかったのも理由のひとつです。絵を描くのは好きなのですが、うまくはないので。(笑)
なるほど!どちらにせよ、何かを作る。創り上げる事には変わりないですもんね。考え深いモノがありますね。
ちなみに、「絵」と言ってもとても幅広いと思うのですが、"色"や様々な"タッチ"で表現すると言うよりも、白黒の世界と、線でいろいろな女性を表現するようになったのはなぜでしょうか?
元々漫画が好きで、中学生の時とかも、友達と漫画を書いたりしていて、漫画って基本的にモノクロじゃないですか?
その延長で、人を描き続けて、そのまま今の作風に至りますね。
なるほど!すごい奥が深いなって思うのが、今のKOTOKAさんの作風って見る人によって感じる事だったり、イメージが全然変わってくると思ったんですよね。「今こういうところなんだろうな」っていうシーンや感覚が人によって違うんだろうなって思うところが、漫画チックというか、面白いなって思いますね。
結構自分の心境が絵に出ちゃうんですよね。絵自体が全てイコールしている訳ではないんですけど、その時の感情が線や言葉に反映されている感じ。昔の絵を見直すと「あの時こういう気持ちだったんだな。」って、思い出したりします。なので、見る人もその時の感情で、その人だけの見え方になるのかなと思ったり。
そうですよね!例えば、KOTOKAさんが凄く辛い時に書いた作品だとしても、見る人によってはとても感動する温かい絵になったりもするんだろうなと思います。脱線してしまって、申し訳ないです…
それでは、イラストレーターになった、今のお仕事についてお伺いしたいと思います。今のお仕事をしていてよかった事や嬉しかった事、辛かった事など、エピソードを教えて頂けますか?
いろいろあって絞るのが難しいですね。(笑)一番嬉しい事は、自分の絵を見てくれた人から直接感想や感謝の言葉、愛のある言葉をいただける事ですかね。結果的には自己満足みたいなところがあるんですけど、間接的にでも自分の絵が誰かの為になっている、って実感できるのがやっぱりすごく嬉しいです。
ファンの方々から直接感想や感謝の言葉を頂けるって、凄く嬉しいですね!
そうなんですよね。そんなつもりなく書いた言葉一つに対しても、「あの言葉で共感して涙が出ました」とか、展示会で会った瞬間に号泣してくれた事もあって、そんな事って今の職業じゃなかったら感じる事が出来なかっただろうなって思います。本当にありがたいことです。
創り上げた作品を見て感動してくださる方々がいるって、本当に凄い事ですよね。そんなKOTOKAさんの作品に描かれる女性や男女を書かれる時のインスピレーションはどこから得られているのでしょうか?
よく聞かれるんですけど、想像から何かが生まれる、とかインスピレーションなんてかっこいいものはあんまりなくて…
「こういう人描きたいな」とか「こういう絵描きたいな」をベースに、構成を考えていきます。雑誌やいろんな写真、映画を見て描きたいものに合うトーンからイメージを膨らませる感じです。
いろいろなところからインプットされた映像がKOTOKAさんのフィルターを通して再現されているのですね!
ちなみに、スランプなんかはあるんですか?今描きたいモノ思い浮かばないなーみたいな。
めっちゃありますね。今もそうかもしれない。スランプっていうか…
「この絵が好きなんですよね!」って言われるのが、初期の頃の絵が多くて、それを言われてしまうと、その頃から自分は成長できていないのかな、とか、そこがピークで今は超えられていないのかなって感じたりします。前に比べて、今は絵も上手くなってるし作品数もたくさん増えているのになぁって。でも、前の絵を意識して描こうとすると何をどう描けばいいか分からなくなってしまって、そこで悩んだりしますね。
そんな葛藤があったのですね!見ているだけだと分からない…とても大きなスランプかと思いますが、KOTOKAさんはどう乗り越えたのでしょうか?
その話を年上の同業の方に話した時に、「バンドに置き換えるとさ、きっとずっと好きでも1番好きな曲って、自分がそのバンドに出会った時の曲だと思うんだよね。初めて好きになった曲が、人生通して好きな曲になる。それと同じだと思うよ」って言われて。それを言われた時に、確かに自分もそうだなぁって思って、気持ちが楽になったんです。今自分が描きたいものを描こうって思える様になりましたね。
その方凄いですね!私もすっごくしっくりきました!
またもや余談なのですが、KOTOKAさんが描かれる方々って、その時描いたKOTOKAさんの同年代の方をイメージして描かれているんですか?
同年代…くらいなのかな?多分、常に自分を重ねている部分がある気がします。写鏡みたいな。20歳くらいの時に描いてる絵は、今見ると自分でも若いなって思いますしね。だから、絵も自分と一緒に歳を重ねてる感じですね。
KOTOKAさんの絵はもしかしたら1人の女性の成長の絵なのかもしれないですね。そういった思いで見ると、また感動するかもしれないですね。
ちなみに、絵を書かれる時に心がけている事ってありますか?
絵を描くときは、無音にしますね。音が入ると集中できなくなっちゃうから、全部消します。光も、手元のライトのみにして、あまり明るくしない様にしています。後は髪の毛を上げて、描くスイッチを入れますね。
無音なんですね!確かに集中できそう!
お仕事とは逆に、プライベートで心がけている事はありますか?
プライベートで心がけている事は、感情の整理をすること。例えばイラっとした時に、頭の中で文章化して、なんで今ムカついたのかなって思い返すようにしています。悲しいときとか、例えば恋愛の事でマイナスになっている時とかも、そこを文章化して噛み砕いて、メモに残したりして。それがイラストのキャプションになったりするんですよね。プライベートと仕事が混同する部分なんですけど、イラストに添える言葉は自分で思った事しか書けないので、良くも悪くも自分の感情が動いた時に常にメモする様にしてます。書いてみると、意外と小さなことだったり、なんでこんな事で怒ったんだろうって思えたりするし。モヤモヤは自分で消化する様にしていますね。
なるほどー!感情の出口がイラストになっていたりするんですかね?だからこそ共感を得るんだと思います。
プライベート話続きで申し訳ないですが、お仕事以外の趣味とか、ストレス発散法があれば、お伺いできますか?
元々、めちゃめちゃインドアで、出なくてよければ、家を出ないんですよ。自粛期間中とか、全然苦じゃなくて。何もしない事がストレスの発散なんですよね。家でもずっと漫画読んだり、ぼーっとしたり。猫飼ってるんですけど、猫と戯れたり。それが1番のストレス発散ですかね。でも、出かける事もしますけどね。キャンプも行くし、お酒好きなので飲みにも行きますし。趣味は、写真ですかね。イラストの次くらいに好きです。
写真!素敵ですね!写真も人物を撮影されるんですか?現像とかもご自分でされてるんですか?
そうですね!前まではフィルムで撮ってたんですけど、最近はデジタルの一眼で撮ってます!
それはもう独学ですか?
独学と、知り合いに教えて頂いたりとか。ですね!
それでは、そろそろ終盤に参りましたが。またお仕事のお話に戻らせて頂きますね。
これからのKOTOKAさんの展望について、お伺いできますか?
今まではフリーランスのイラストレーターとして1人でやってきたんですけど、今年の8月に自分の会社「IN inc.」を立ち上げたんです。いちクリエイターとして、自分でももちろん頑張っていきたいっていうのもあるんですけど、そこに所属する他のクリエイターのサポートだとか、ディレクションに力を入れていきたいです。今まで自分自身が助けを求めていた部分を他のクリエイターにも与えられるような場所を作っていきたいと思っています。今までは自分がどうなりたいかを中心に進んできたのですが、これからは人をどう包んでいくかを考えていきたいですね。
素晴らしいですね!会社立ち上げ、おめでとうございます!
では、最後の質問です。KOTOKAさんにとって、35歳とは?お伺いできますか?
なんだろうなぁ。今の自分にとっての35歳って約10年後なんですけど、将来の自分っていうイメージなんですよね。35歳までに何が出来るかだなって思ってて、これからの将来に向けて、35歳が節目の年だなって思いますね。客観的に見たら、余裕が出てきてる年齢なのかな。自由度が高くなるけど、守るモノが増えて冒険しなくなる歳ともいえるのかな。だからこそ、大人な考えは持ちつつ、今の気持ちも忘れたくないなって思いますね。
ちなみに、35歳になってもイラストレーターは続けていきたいと思いますか?
そうですね!イラストは、ずーっと好きのままで続けていきたいと思います。仕事の認識というよりも、好きな事っていう気持ちで続けていきたいなと思います。
この度は、ありがとうございました!
PROFILE
KOTOKA IZUMI
Illustrator
Instagram:https://www.instagram.com/kotoka_izumi/
Online Shop:https://kotokaizumi.stores.jp/
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