Dragon Ashのメンバーとして、あらゆるダンス要素を取り入れたパフォーマンスで常に観客を魅了し続けるDRI-V氏。ダンスに対する想いや、パフォーマンスする上で心がけていること、ダンサーとして目指しているところなど、普段なかなか知る事ができない同氏の素顔に迫ります。
ダンスに触れたきっかけを教えてください。
中学2年生の時「元気が出るテレビ」っていう番組があって、その中のダンス甲子園でクルクル回る人達を 初めて見た時に、「やべー。俺も回りたい。」って思ったのがきっかけです。
当時は、周りでやっている人が 誰も居なかったから、テレビの中だけの世界って感じで、いつかできたらいいなってくらいの気持ちで過ごしていました。
ある日、いつも行く商店街を歩いていたら、路上で踊っている人がいて、めちゃくちゃかっこ良くて、思わず友達と一緒に「カッコいいですね!!」と声をかけました。
そこから、「見ていてもいいですか?教えてください!!」って感じで仲良くなって、気がつけば、「じゃあお前ら一緒にやるから、毎日練習来いよ」って感じで、学校終わって、部活終わったら、すぐ駄菓子屋の前に行ってそこでみんなで踊って家に帰るっていう生活が毎日のルーティーンになっていました。
当時の将来の夢はダンサー?
ダンスのもう1人の相方ATSUSHIは「俺はダンスで食っていく!!」って早い段階から言っていたけど、当時自分は逆にプロダンサーで生活していきたいとは全く思っていなかった。「まぁダンスで飯食えたらいいけど…」程度の軽い感じだった。自分はみんなとイエーイ!って一緒に踊っているのが好きだったから、仕事としてダンスってなると楽しくなくなっちゃう気がして。
踊りたくないときも、仕事だと絶対踊らなくちゃならないし、なんかダンスを嫌いになっちゃいそうだなって思って…。だからそういう方向でははじめは全然考えてなかったです。
Dragon Ashと知り合ったきっかけは?
高校時代は、毎日練習するだけじゃなく、クラブも行くしショーケースにも出るようになっていて。渋谷HARLEMの上のBX CAFEで知り合いの人が月1でイベントをしていて、よく遊びに行っていました。
まだデビュー前のRIP SLYMEとそこでよく会って、仲良くさせてもらっていました。そしたら、今度TMC(Total Music Communication)ってDragon Ashが企画する、5バンドぐらい集めて一緒に地方を回るツアーイベントがあって、リップが大阪公演出るから「くる?」って言ってくれて。
それでATSUSHIと夜行バスで大阪入りして、リップのスーさんの部屋にお邪魔させてもらって…
その日にライブで、ライブまで時間が結構あるから、それまでどうしようかってなって。
楽屋のウラに結構大きな駐車場があって、リハーサルやる前に出演者達でボール遊びとか身体動かして自由に遊んでて、俺たちもストリートダンスしようか!!って踊ってたら、Dragon Ashのけんちゃんたちが来て、「いいねー!今度PV 撮るから一緒にやらない?」って誘ってくれて。それで呼ばれたのが【Amploud】のPVでした。
当時のダンスのジャンルは?
それこそ中学の時は、ただ踊るってことしか頭になくて。今はヒップホップとかブレイクとかジャンルが確立されているけど、当時はヒップホップの曲を聴きながらブレイクダンスを踊るみたいな自分自身が訳分かってなくて結構めちゃくちゃなスタイルでした。
ある時、ブレイクダンスはもっとテンポの速いブレイクビーツでやるものなんだっていうのに気づいて、クラブのショーケースとかもブレイクダンスメインで本格的に踊るようになりました。
黄金の90年代ですよね?
そう。DJの先輩も居たので、最新の90年代ヒップホップの、新譜やレコードジャケット見せてもらったりして90年代の最高な時代をリアルタイムで体感できたので貴重な経験ができました。
羨ましい限りです。【Amploud】のPVから正式加入までは?
【Amploud】のPVの後、サポートみたいな感じで、全曲じゃないけど、何曲か踊って出たら?って感じの空気になってきて、ドラゴンのみんながいるところに、遊びにいくようになって、レコーディングスタジオの場にも普通に行く様になり、どんどん一緒に過ごす時間が密になって2003年に正式加入しました。
Dragon Ashに入る前と入った後で変わったことはありますか?
入る前はいい加減で超適当な人間でした。(笑)と言ったら語弊があるけど、責任感がないというか自由すぎたというか…。自分の中で、ダンスで稼ぐ稼がない問題があったので、そこに踏ん切りをつける為、ちゃんとダンスに対して本気で向き合って決意をしてからメンバーとしての責任感を持つようになりました。
ミクスチャーロックバンドの中にダンサーが居るって、当時だとかなり珍しい方だったと思うけれど?
そうですね。前例が無い分、ホント沢山の批判を受けましたが、当時周りにロックバンドにダンサーがいるというスタイルがなかったから最先端だと思ったし「誰もやってないようなことをやっているし、めちゃくちゃかっこいい事やってるぜぇ!!」っていう自負と嬉しい感情が有りました。
パフォーマンスする上で心がけていることは?
振り付けはあるけど、振りだけを完璧にやろうとするとただの自己満になるから、それを超えて、振りも踊りつつ、目の前にいる人たちを見るってことをかなり意識しています。周りの人の表情を見てるから即座に反応できるし、一緒に「イエーイ!」って出来る。
自分だけの殻の中で「わー!」って踊ったところで伝わるものも伝わらないので… 場の空気ってライブ会場には絶対あるし毎回違うから面白いんですよ!
会場の熱量につられて振りよりもパッションが先行しちゃうときもあるんじゃないですか?
うん! 有りますね!殻を破って感情をむき出しになる瞬間は。予定調和でやるもんでは無いですから…。(笑)でもちゃんと振りつけには戻りますよ。(笑)
忘れられないほどアガッたパフォーマンスはありますか?
ライブは、みんなで同じ場所で同じ空間を全員で共有してるからやっぱり感動するけれど、ロッキンのステージ(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)は幸せを感じますね。あのステージでやりたくてもまだできてない人達だって沢山いますからね。大トリをやらせてもらったときに、ずーーーっと丘の上の方まで人がびっしりの状態で、ステージ場の電気が消えて、みんなが携帯のライトを見せてくれた時の景色は幻想的でヤバかったです。パフォーマンスを全力でやり切って最後に花火がドカンと上がって終演!ヤバい。感動ー!幸せすぎるー!(笑)
ライブってワンマンだと2時間くらいずっと踊り続けてるわけですよね。ツアーだとほぼ毎日?
ワンマンライブだと2時間半くらいですね。ツアーだと大体2日間ライブやって次の日に移動して、また次の日ライブみたいなそんなルーティーンです。
そういうハードスケジュールの中での身体のメンテナンスは?
2週間に1回必ず整骨院に行くようにしています。ライブが終わったら必ず水を浴びて、体を冷やしてクールダウンするように徹底しています。本当は疲労回復が早くなるから、水風呂が一番いいですが…
あとは、プロテインとかサプリを飲んで栄養補給する感じですね。最近地方とかいったら銭湯や温泉とか見つけて行ってます!
風呂屋?って水どころかお湯じゃないですか(笑)
そうなんですけど、温泉入ってからの水風呂入っての繰り返しで、温冷浴して楽しんでます。(笑)
風呂は気分をリセットできて疲労回復も促せ、そして、その土地の独特な雰囲気も味わえるのでめちゃ好きです!最近のツアーでは、いつもではないけれどトレーナーが来てくれることがあって、ライブ前にパフォーマンスアップケアをして身体を整えてくれるからすごく助かってます。
改めて、ダンサーとして目指しているところは?
今までの自分の経験を元に、今、幼稚園の子達にリズムとコーディネーショントレーニングを組み合わせて、運動神経を飛躍させるレッスンをやっていて。
幼稚園生くらいの時期はプレゴールデンエイジ(4歳〜8歳頃)って呼ばれていて、運動神経をつかさどる神経系の8割くらいがそこで形成されるから、運動をすればするほど運動神経が良くなるって言われていて。
その時期に木登りとか縁石に上って遊ぶ子達は、運動の経験値がためられて、ゴールデンエイジ(9歳〜12歳)のタイミングで、さらに飛躍できるようになる。だから、幼稚園生の子達と、リズムと身体を使って、音と動きを連動させた遊びをさせる。例えばボール遊びも、両手でキャッチ、片手でキャッチ、クラップしてキャッチ、一回転してキャッチと少しずつシチュエーションを変えて、色んな遊びをさせてあげると、気づいたら「あれ?超動けるじゃん」「身体を動かすことや、運動が大好き」っていう子供たちを沢山育てたいなって。
子供に教えようと思ったきっかけはあったんですか?
うちには小学校4年生の子供がいて、幼稚園児の時に「自分がダンスをやっているので子供の運動神経が悪かったらなんか嫌だな〜(笑)」なんて思った時期があって、そこから勉強をして子供の運動神経を伸ばすトレーナーの資格を取りました。
子ども達にダンスを教える前に、リズムにのると心地よくて楽しい!!という基本的な感覚を教えるほうが重要だと思い、そして意味があると思い幼稚園児対象のレッスン始めました。レッスン中はもちろん音も流しているので、自然と音慣れもするし、特に年長さんとかはリミッターが外れて、「イエーイ!」ってやったりする子も結構多くて。「その楽しみながらのノリが大事だよー!」って教えたりして。一人が踊りだしたら、みんながその楽しい雰囲気につられて踊りだしたりして。そういうのを見ていると、自然体で楽しんでる様子を見ながら成長して行く姿を見ていると感動しつつ幸せに感じています!
子供たちの育成以外に、最近新しく活動を始めたことはありますか?
「ENLIGHTENS(エンライテンス)」っていうプロジェクトを立ち上げたことです。
これも、縁が縁を呼んで出来上がった形で。まだ自分が子供のレッスンを始める前に、友達にこういう活動を将来やりたいと思っているんだって話したら、鹿児島在住の友達が賛同してくれて。実はその友達が、最近のDragon Ashのツアーでケアしに来てくれるトレーナーで、整骨院の先生でもあるから身体の専門的な知識面のサポートもできるから一緒にやろうよって意気投合してくれて。
自分の子供の幼稚園の園長先生に企画を持って行ってくれて、実現することができたんだ。その彼との活動の中で、みんなが笑顔になるイベントや、アパレル、グッズ製作もやってみようかって感じでスタートしました。エンライテンスは、直訳すると自己啓発・自分を高めるって意味なんだけど、ENLIGHTENS LIFEで、人生を明るくするって意味もあって、自分ができることをこれからも全力でしていって日本を元気にしたいって想いも含めて、商品のラインナップは自分が着たいものもそうだけど、みんなに必要とされているものや、身につけているだけで嬉しくなるような商品を打ち出していきたいと思っています。
COVID-19の感染拡大で、一時日本でもマスクが品切れになったりしたこともあって、今回一日でもはやく平和な日常が戻るようにという願いも込めてPRAY HANDSのデザインと、スペイン語で「光溢れる人生を」っていうプリントを施したマスクを作りました。
「光溢れる人生を」って素敵な言葉ですね。改めてDRI-Vさんにとってダンスとは?
ダンスは表現方法の一つだけど、全部に繋がっているような気もする。その時の感情や精神状態が出るものでもあるし、今までずっとやってきた生活の一部でもある。何だろう。もう一人の自分のような存在。理想郷があってそれに近づくために、常に練習しているから、絶対にこれでいいや、とはなれないし、もっといけるっしょ。ってどんどん追い込むし追い続ける。ライバル的なもう一人の自分かな。
35歳の時のエピソードってありますか?
35歳はちょうど6年前。いつのライブだったかなって調べてみたら、丁度【The Faces】のアルバムをリリースして、3年ぶりにワンマンがはじまりますっていう年で。
それでびっくりしたというか、すごく一致してるなて思ったのが、俺、実は、「そのツアー出れないな」って思ってました。2014年1月にアルバムだして、2月にはツアー回ることが決まってました。でも、13年の11月くらいから、身体の様子がどんどんおかしくなっていった。10歩歩いたらもう足が痺れて動けないって感じで。
日に日に症状が酷くなり原因も分からず治療方も見つからず全く良くなる兆しも見えないままツアーはもう3ヶ月後には始まってしまうっていう焦りと不安の地獄の日々でした。よく30歳とか35歳で、身体に変化が表れて、体力が一気に落ちて、身体が壊れるタイミングがよく来るよって言われたりするけれど、まさにそれで。
当時、病院、針治療、整形外科、気功、カイロ、漢方薬と試しまくって20件くらい通ってみたけど、全く治らなくて手術しか選択肢が無い中、藁にもすがる思いで最後に1つ調べた整骨院があって、ダメもとで行ってみたら、たまたまDragon Ashが好きな先生がいて「これからツアーなのですが足が全然動かないんです。」って全部説明したら、状態をすぐ診察してくれて。「僕では手に負えないので、僕の師匠を紹介します。」って、すぐ先生の師匠に連絡して紹介して頂きました。それ以降、その先生の所に毎週通い続け、だんだんと痺れが減ってきて、3ヶ月後にはツアーにはギリギリ参加できるまでに回復しました!
それでもツアー中は何度も痛みで死ぬかと思いました。毎回栄養ドリンクを飲んで、なんとか生き伸びたって感覚でした。ファイナルは武道館で死に物狂いで走りきった達成感は半端ではなかったです。
まさかあの時期じゃないよなって調べたら、どんぴしゃで35歳だったのでびっくりしました。
当時、本当に「俺もうマジでダメだ。終わったわ。」って思ってて、その先生と治療に出会えたからこそ今の自分があると思っています。先生は僕にとって命の恩人です!!だから身体のケアを大切に思い今もメンテナンスで通い続けています。
転換期でもあった35歳ですが、これから35歳になる後輩にメッセージはありますか?
20代は何が自分に合うか探す時期。
30代の10年はこれだなってのが自分の中で見つかって、それに集中してある程度経験値を積んでそのジャンルで良いポジションに上る時期。
40代でまた壁が出てくる。本当にそれでいいの?っていう分かれ道がくる気がする。40代になるともう後戻りがきかなくなる年だから、今まで経験値を積んだものをそのまま進んでいくか、その経験を生かして次の違う何かをやるか、の分かれ道があると思う。
自分は本当に良い人達に恵まれてきて、沢山の周りの人に助けられてきたから、自分の出来ることを誰かに少しでも恩返ししていけたらと思っています。
ありがとうございます。最後に今後の展望を聞かせてください。
自分が出来る事を精一杯発信し続けて、みんなの笑顔が増えたら嬉しいなって気持ちでこれからも全国を回っていきたいです。
Vida llena de luz!
PROFILE
DRI-V
Dragon Ash Dancer
ヒップホップ、ブレイキン、パントマイムなどダンスのあらゆる要素を独自の解釈で取り入れ、ダンサーとしてステージを大いに盛り上げ、 Dragon Ashを更なるネクストレベルへと押し上げる。
Official Site : https://www.dragonash.co.jp/
Instagram : https://www.instagram.com/dri_v_dance/
ENLIGHTENS
Online Store:http://shopping.deli-a.jp/artist/enlightens.php
Instagram : https://www.instagram.com/enlightens_official/
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